地方のICT戦略22
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経費ならびに時間節約の観点からもエコロジーの観点からも、また新型インフル対策の一助としても 期待以上のメリットを実感しています。今後も利用範囲を拡げ、十分に活用していきたいですね。
大明化学工業株式会社

大明化学工業株式会社
●Interview
大明化学工業株式会社
取締役 企画部長(手前中央)
勝岡 求仁さん

企画部 企画課長(手前左)
大澤 修さん




予想以上の使い勝手に
高い満足度

・・・テレビ会議システムを導入されて、ほぼ1ヶ月。まず率直なご感想はいかがでしょうか。

勝岡企画部長(以下勝岡さん)
 正直、期待以上ですね。長野県伊那地域にある本社と銀座の東京営業所を結んで、初めてテレビ会議を行ったのは、設置完了翌日の7月31日でしたが、参加した全員が「思ったよりいい」と異口同音。最初から好感触を持ってくれたようですよ。すでに何度もテレビ会議を行うに至っています。
  実際に使ってみると、それぞれの会議室のリモコンで、相互にカメラを調整しながら会議を進めることができる点が便利です。参加者全員の顔も見わたせますし、特に発言者を個々にズームアップできるのがいいですね。表情を見ながら会話ができますから、電話やメールではなかなかできない、かなり踏み込んだ打ち合わせや議論も可能です。しかも音声、画質のクオリティが非常にいい。離れた地域を結んでいるという違和感がまったくありません。静止状態が多かったり、時間のズレにイライラしたりした過去のテレビ会議を知っている者にとって、この進化は感動的といってもいいほどでした。

大澤企画課長(以下大澤さん)
  会議の記録をデータファイルとして残しておける点も、非常に便利ですね。


・・・プロジェクタで映し出す資料や書類などを、それぞれの会議室、参加者の間で共有することも可能なのでしょうか。

大澤さん 可能です。当社では6年前に光ブロードバンドによるスーパーワイドLANを導入し、全事業所間を結んでいます。それが今回も既存のインフラとして生かされ、データの即時共有とテレビ会議システムとの併用といった便利な使い方を容易にしています。

・・・どのような用途でお使いになっていらっしゃいますか。

勝岡さん 今のところは幹部クラスの会議が中心で、全社的な活用に向け、取り扱い方の浸透を図っている段階です。しかし今後、生産会議、販売会議、経営会議、役員会議、プロジェクト会議、幹部打ち合わせなど、総務・生産・技術各分野の定例会議の大半でテレビ会議システムを活用できるとみています。また、労働組合の会議などにも活用したいと考えています。
  活用範囲は社内だけにとどまりません。当社のユーザは首都圏に多いのですが、東京の事務所へ来ていただいて、本社の営業担当者や技術者とモニタ画面越しに打ち合わせができるようになったことは、期待以上の成果でした。会議中、必要に応じて双方の当該関係スタッフをすぐ呼び出せるのも都合がいいですね。従来をはるかに上回る機動力のある対応が可能になり、ユーザからも大変喜ばれています。

慎重な検討の結果
ベストタイミングで導入

・・今般、導入を決断された経緯をお聞かせください。

勝岡さん 本社と東京を結ぶコミュニケーションツールとして、1年ほど前から導入の検討を始めていました。出張費用の削減と、移動にかかる時間の有効活用が最も大きな目的です。とはいえ、当社の規模としては思い切った設備投資となるため、慎重に検討を続けていたのです。
 当社は素材産業と呼ばれる材料供給メーカーであり、景気の影響を比較的受けにくい食品・生活必需品分野の製品も開発・販売しています。ところが昨年からの景気低迷が、こうした分野の業績にも影響をおよぼすようになったことから、経費節減に対し、より積極的な対策を講じる必要に迫られました。折しも新型インフルエンザが大流行の兆しを見せ、そのリスク軽減対策としても有効と判断したことから、今夏の導入が決まりました。
 先ほども申し上げたように、NTTさんの映像技術も、こちらが望む品質に達しており、いいタイミングでの導入だったと思っています。実はインターネットサービスによる画像会議システムも、選択肢のひとつとして検討したのですが、モニタサイズや画質においてNTTさんのシステムが勝っていました。大画面だと、情報共有が一度にできますからね。

・・・経費削減をはじめ、テレビ会議システム導入の実質的な効果・メリットはいかがでしょうか。

勝岡さん 現在、東京〜本社間の出張交通費は月額約10万円。年間120万円の削減効果は大きいですね。システム導入の初期費用が大きいといっても、ほぼ2年で元が取れますから、効率は悪くありません。出張する社員の移動時間やストレスも軽減できることを考えると、そのメリットは計り知れないでしょう。

大澤さん 当社では既に3年前からBフレッツを採用しており、昨年からIP電話も導入しています。定額制ですから、テレビ会議を何度おこなっても通信費用がアップする心配がない点は、大きな魅力ですね。また、既存の光ブロードバンドインフラを生かしたことで、初期費用の抑制や工事時間の短縮を図ることもできました。業務に支障が出ないよう休日を選び、わずか2、3日で工事してもらえたので、非常に助かりました。

勝岡さん 当社にはIT部門もあり、総務関係から生産管理まで、すべての社内ソフトを自前で開発、運用しています。その状況に合致するよう、現場を理解いただいてプランニングしてもらえたことも、メリットのひとつといえるでしょう。

地方に製造拠点を置く
メリットをフルに生かして
・・・今までのお話から、御社が早い時期からICTを戦略的に取り入れ、活用しておられる様子がうかがえました。ユーザ協会の会員の皆さんへのメッセージも込めて、「地方の企業のICT戦略」について御社のお考えをお聞かせください。

勝岡さん ものづくりの拠点を地方に置くメリットは非常に大きいと考えます。まず、工場用地、水、澄んだ空気といった重要な要素が整っており、住宅や建物が密集した都会では考えられない恵まれた生産環境があります。生産スタッフの生活という観点からも、恵まれています。
  一方、取引先となるユーザは、圧倒的に首都圏に集中していますから、営業・販売の拠点を東京に置くメリットは限りない。海外企業とのコンタクトも首都圏のほうが取りやすいのが現状です。
  メーカーにとっては、地方と首都圏の両方に拠点を置く必然があるわけですが、それによって、どうしても発生するのが距離や時間のデメリットですね。ICTは、それを補うために積極的に活用すべき要素と考えます。特に今回導入したテレビ会議システムは、デメリットを補って余りある技術でした。物理的にさまざまなメリットを生み出してくれたわけですが、それ以上に社内外のコミュニケーション面におけるメリットが大きいですね。コミュニケーションの重要性が再認識される時代だけに、今後も数々の成果に期待できそうです。

《Profile》
●大明化学工業株式会社
昭和21(1946)年、工業薬品メーカーとして生産環境に恵まれた南箕輪村に創業。ポリ塩化アルミニウムをはじめとする上下水・工業用水・産業廃水等の浄水剤、食品用のミョウバン、各種工業製品素材となるアルミナ製品など多彩な品目を製造。『天使の美肌シリーズ』化粧品の製造・販売も行い、実績を上げている。本社工場と東京営業所を結ぶコミュニケーションツールとして、今夏よりテレビ会議システムを導入した。
●〒399-4597 
長野県上伊那郡南箕輪村3685-2
http://www.taimei-chem.co.jp/

TEL/0265-72-4151

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